国道433号線・七曲峠


 七曲峠は、広島市佐伯区湯来町と廿日市市の間に位置する峠で、七曲峠を越える区間は、昭和56年に国道433号線に指定されている。
 しかし、道路としての位は県道よりも高いが、湯来から廿日市への主なルートは、魚切ダムの横を通る県道五日市筒賀線から国道2号線経て廿日市に至るルートのほうが一般的である。明治時代に指定された加計〜廿日市間の県道も、こちらのルートであり、どちらかといえば、七曲峠は脇道的な存在であったようだ。



 佐伯区湯来出張所の前から、五日市方面へと南下してきた国道433号線は、旧湯来町・五日市町の町境を通り過ぎてからほどなく右折、直進する県道五日市筒賀線と分かれる。交差点のすぐ先で八幡川を渡ると、再び旧湯来町の区域に入る。



 しばらくの間は改良された道が続くものの、この先が大型車通行困難であることを予告する標識があちこちに建てられている。



 葛原(つづらはら)の集落を抜け、山が両側から迫ってきたところで、いったん改良済みの道は終わり、未改良の道となる。



 未改良の区間を抜け、再び改良済みの道になると、ほぼ直線の坂道が続いているが、七曲峠の手前、その名も「峠」という名前の集落にさしかかるあたりから未改良の道となる。



 道路の両側に広がる水田と、家々が点在する峠の集落の中を進んでいく。途中、「葛原分校」という名前のバス停があるが、分校はすでに廃校となったようで、学校らしい建物は跡形もない。



 広電バスから移管された代替バスの終点である、峠のバス停には、かつての葛原車庫の建物がそのまま残っている。昔は、ここから広島バスセンターまで直通のバスが走っていた時代もあった。車庫の前を通り過ぎ、峠の集落を抜けると、なだらかな勾配の杉林の中を続く坂道を登っていく。




 苔生したモルタル吹付の法面の下を進んでいき、七曲峠の頂上に着くと、切り通しの先に前方の視界が開ける。七曲峠の頂上からは、これから下りていく谷の向こうに、廿日市の街並みと瀬戸内海が見える。峠の頂上から、南へ少し下ったモルタル吹付の法面に掘られた穴には、小さな祠が祭られている。



 七曲峠から廿日市に向けての下りは、カーブの連続で、七曲どころではない。道幅をいくらか拡げるために山側を削ったのか、モルタル吹付の法面が続いている。



 七曲峠からの下り道、何の変哲もないカーブを挟んで、広島市と廿日市市の市境を表す標識が建っている。カーブを曲がった先には、極楽寺やアルカディアビレッジ方面へと続く、県道長野葛原線が分かれている。




 県道長野葛原線との交差点から先の下りは、廿日市方面からアルカディアビレッジなどへ往来する車もあるため、交通量はそれまでよりも増えるが、道幅は1.5車線分くらいあるので、離合のためにバックするようなことはあまりない。二度、三度…と、ヘアピンカーブを繰り返しながら、どんどん標高を下げていく。



 国道の西側にある砂防堰堤の横を通り過ぎ、谷の幅が広がってくると、センターラインのある片側1車線の道路となり、未改良の区間はいったん終わり。



 老人ホームの前を過ぎると、長野ループという名前のループに差しかかる。



 長野ループの案内標識の横を左手の山のほうへ向かって上がる階段は、極楽寺山への登山道である。階段の上にはあずまやがあり、眼下にループを走る車の様子を眺めることができる。



 長野ループを過ぎると、国道沿いで廿日市市に入って最初の集落である、原の集落に入る。長野川という砂防河川に架かる橋を渡ったところで改良済みの区間は終わり、大きく左へカーブする。国道は川沿いを道なりに進まず、「大型車通行困難」の予告標識が指す、右斜めの方向に続く狭いほうの道である。



 原公民館の前を過ぎると、右手に原小学校がある。その先の案内標識が建つ、廃止された原郵便局の建物の前の交差点を左折する。この交差点で、国道に県道虫道廿日市線が右から合流してくる。
 


 左折した先には農協の支店があったがこれも廃止となり、建物は跡形もなくなってしまっている。その先は、国道のバイパス工事により交差点部分が改良されており、交差点から北側へ向けては、ブロック積や境界ブロック、転落防止柵などができており、バイパスの完成形が見てとれる。一方、交差点から南側は、まだ手付かずの状態となっている。





 未改良区間に入るところで分かれた川沿いを通る市道との交差点には、お地蔵さんが祭られた小さなお堂があり、「左 石州道 右 山縣道」と刻まれた道しるべの石が置かれている。




 住宅が建ち並ぶ中を通り、山陽道の高架橋が見えてくると、高架橋の手前を右折し、その先すぐの交差点を左折すると、様子は一変し、片側2車線の改良された道となる。改良済みの区間は、国道433号線と国道2号線が交わる上平良交差点まで続いている。


 なお、国道433号線の4車線区間には、途中、広島近郊では交通安全の神様として有名な、速谷神社という神社がある。


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