一般県道本多田佐伯線・湯来〜佐伯


 県道本多田佐伯線は、広島市佐伯区湯来町本多田で、国道488号線から分岐し、旧佐伯町の区域である廿日市市虫所山、津田を経て、廿日市市浅原で国道186号線に至る県道。津田〜浅原の間を除くと、山中の未改良区間が多く、未改良区間は交通量もあまりない。



 県道本多田佐伯線の起点となっている、広島市佐伯区湯来町本多田の交差点。廿日市市吉和へと向かう国道488号線から、左へと分かれて、すぐに水内川を橋で渡る。



 大谷川のつくった狭い谷が奥へと続いており、その谷あいを通る道幅1車線あまりの狭い県道沿いに民家が点在している。



 進行方向左手に工事半ばの道路や橋が見えてきて、それが近づいてくると、カーブの途中で部分開通している国道488号線東山バイパスが右へと分かれていく。その先はすぐにもとの通りの狭い道へと戻る。



 かつては広電バス雲出車庫として使われていた建物の前を通り過ぎると、いったん集落の中から抜けて、杉林の中に県道が続いている。



 釣り堀と奥湯来温泉の看板が見えると、湯来町最後の集落である大谷である。道路沿いにぽつりぽつりと民家がある寂しい集落で人の気配はあまり感じられない。



 集落最後の民家の前を過ぎ、荒れた休耕田を見ながら坂道を登ると、再び杉林の中へと入っていく。警戒標識の通り、逆S字状になったカーブがあり、さらに坂道を登っていく。



 広域基幹林道・太田川林業地基幹線という新しく建設中の林道との交差点を過ぎると、ほどなく広島市と廿日市市の市境となっている峠の頂上へ着く。



 峠の前後の区間は、未改良とは言いながらも、道幅が1.5車線分ほどあるので、比較的走りやすい。



 杉林の中から抜けて、進行方向左手の視界が開けてくると、廿日市市最初の集落である大虫という名前の集落へと入っていく。



 大虫川のつくった盆地はかつては耕作地として利用されていたようで、山すそに建つ民家の前を通り過ぎていく。集落の中から抜け、左手の山が近づいてくると、山あいの川沿いに県道が続くだけの風景となる。



 大虫川と並行して県道が続いているが、大したカーブもなく、比較的見通しのよい道が続いている。



 道路左手にモルタル吹付の法面が現れると、ほどなく県道助藤津田線との交差点に出る。交差点には、大正15年に建てられた皇太子行啓記念と刻まれた石の道標があり、左むしどうの方向へと進む。



 左折して木立の中を抜けると、山の斜面に耕された棚田の中に民家が点在する助藤の集落に入る。かつては小学校もあったが、昭和63年に休校となったあと、平成4年に廃校となっている。



 集落の中を抜けると、やや薄暗い杉林の中へと入っていく。道幅は狭く、1車線ほどしかなく、対向車が来てもすれ違いも難しい。



 かなり強引とも言えるような、きついヘアピンカーブが1箇所あり、こうしたカーブも交えながら、次第に標高を上げていく。




 杉林の中を続く道沿いには、人の気配が感じさせるものがほとんどないと思っていたら、道路左手に古びた石積みが残っていた。よく見ると、杉の木の奥の斜面には、苔生した張コンクリートがあり、さらにその上にはブロック積も残っている。どうやらここには以前は何か建物があったようで、今も残っているものはその遺構と思われる。



 杉林の中から抜けると、虫道という名前の集落に入る。県道は右へとカーブして右手の川を渡り、左手へと続く道は市道。しかし、市道の奥には廃屋が数軒あるだけで、この道を通る人はもういないようだ。



 集落内に残る一軒の民家の横を通り過ぎた先で、左右に道が分かれている。左は県道虫道廿日市線で、県道本多田佐伯線は「津田」と書かれた木製の看板が指す右へと続くほうの道。



 右折したあとでほどなく、峠の頂上を通り過ぎ、その先は廿日市市役所の佐伯支所がある、津田の集落へと向けて下りの坂道が続く。



 下りの途中、左手から林道が合流してくる交差点が1箇所あるが、もちろんそこは道なりにまっすぐ進む。




 左手に渓流のような小さな川が姿を見せ、その川と並行して進んでいく。農業用のため池と思われる池が道路左手の林の中にあるが、林の中の薄暗さと相まって、ちょっと不気味な感じも漂う。



 ため池の先で、林の中から抜けて、前が明るくなると、ようやく津田の集落へと入る。左へと曲がって川に架かる橋を渡り、道沿いに点在する民家の中を抜けていく。



 川の作った谷沿いに続く集落の東側に整備された花上バイパスへ出たところで、長かった未改良区間は終わる。バイパスは市役所佐伯支所のすぐ横で県道廿日市佐伯線と交差したところで終わっている。


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