国道182号線・油木ループ旧道



 <現在の道>
 大きく蛇行した帝釈川を田川瀬トンネルを間に挟んだ2つの橋で渡ったあと、支流の谷筋を登っていく。油木大橋という名前のループ橋で高台へと登り、神石高原町油木の集落西側を通っている。



 高岩トンネルを通り抜け、左側の山手に落石覆工が続く帝釈川沿いを南へと進んでいくと、道路の両側に掘り割り状のブロック積が現れる。その手前を右へと入る1車線の道が国道の旧道で、掘り割りが突き抜けている山すそを回ったあと、すぐに現道と交差する。



 まっすぐと正面の山をトンネルで抜ける現道に対して、大きく蛇行した帝釈川の流れに沿って、大きな曲線半径で右へとカーブを切りながら、進んでいく。



 右手を流れる帝釈川が道路沿いに生い茂る雑木により見えなくなってきて、右へと町道が分かれていく。ここから川沿いの道から山の斜面に付けられた登り坂の道となる。



 ちょうど落ち葉の時期であったため、路面には結構な量の木の葉が降り積もっているが、車のわだちの部分も見えるので、いくらかは通る車もあるようだ。ところどころに、道路沿いの切り立った斜面から落ちてきたと思われる落石も転がっている。




 旧道沿いにぽつんと一軒だけ建っている民家の横を通り過ぎた先、むき出しの岩が露出した先のカーブから、道路左手の山の上にある集落へと続く町道が分かれている。路面をびっしりと覆う落ち葉のつもり具合から見たところ、この道を利用している人はほとんどいないようだ。




 山の斜面にへばりつくように、左右に小刻みなカーブを繰り返しながら坂道を登っていくと、左手の山の斜面がむき出しとなった場所がある。ここは採石場の跡で、旧道から50mほど下の谷筋の現道を走る車の様子を見ていると、旧道が山の斜面の高いところを通っていることが分かる。



 採石場跡の横を通り過ぎると、再び杉林の中に続く坂道となる。途中、旧道から、谷を挟んだ反対側の山の上にある集落へと続く町道が、右手下へと分かれているが、この道も今では利用されていないようだ。



 進行方向右手の視界が開けてきて、ガードレールの先には道路下に建っている電柱や道路照明が見えてくる。旧道右側の法面下には油木ループが通っており、旧道から現道へと下りる取付道もある。



 現道から離れて再び雑木林の中へと入っていくが、道路左側の山の斜面もなだらかになり、道幅もいくらか広がった感がある。車がほとんど通らないこともあり、走りにくさはあまりない。




 建設会社の倉庫や民家の横を通り過ぎた先、右手前方にブロック積が見えてくる。田んぼの中に油木ループから続く現道と交差点が見えるが、まっすぐと南へ続く道路は国道182号線油木バイパスとして整備された区間で、交差点から左へ別れてこちらへ近づいてくる道は、油木ループ整備の際に国道の一部として作られた道である。ほどなく、油木ループ建設前後の旧道は交差し、合流する。



 二つの旧道が合流し、右へとカーブしたあと、いったん下り坂となるものの、すぐに緩やかな上り坂の道となる。坂道の凹部あたりで、旧神石町へと続く神石広域農道と交差している。



 坂道を登りつめた先は、旧油木町の中心部だったところで、道路の両側に民家や商店が建ち並んでいる。かつては、トラックなどが轟音を響かせて走り抜けたこの道も、今ではひっそりと静まり返っている。



 もとは国道182号線と県道牧油木線との交差点だったあたりから、再び緩やかな下り坂となる。道路右側の造り酒屋の先には、伊能忠敬が測量の際に宿泊した邸宅跡と刻まれた石碑がある。そして、中国バスの車庫の前で直角にも近い急カーブで右へと曲がる。




 カーブを曲がった先には、右手に福山北警察署油木交番があり、すぐ先の信号のある交差点で現道である油木バイパスと交差する。その先にも、まっすぐと続く油木バイパスの両側に沿うような格好で、旧道が500mほど残っている。


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