主要地方道庄原作木線・便坂



 <現在の道>
 三次市布野町と作木町の間に位置する峠、便坂の北側の山の下を貫く便坂トンネル。
 平成 8年11月に開通したトンネルの延長は1402mで、広島県道のトンネルとしては、現在のところ最も長いトンネルである。三次市の市街地から作木町へは、国道54号線から便坂トンネルを通るルートが最速ルートである。



 国道54号線から便坂へと分かれる交差点には、「便坂口」の名前がついており、便坂への入口であることが分かる。しかし、便坂を通る道が旧道に降格した今ではここを曲る車はほとんどない。



 交差点を左折しすると、布野川に架かる橋の手前に「カーブ多し」と書かれた注意を促す看板が今も建っている。橋のたもとを通る田んぼのあぜ道のような道には、旧出雲街道と書かれた看板がある。



 町上大橋という平成11年に架け替えられた橋を渡った先には、数軒の民家がある。カーブの手前でトンネル開通後に改良された区間が終わり、いったん1車線幅の道となるが、カーブを抜けた先で再び片側1車線幅の道となる。



 横を流れる渓流沿いに進んでいくと幅員減少の標識があり、道幅が狭くなるが、1.5車線分くらいの道幅が確保されている。



 上り坂道の勾配を緩和するため、渓流沿いから離れて逆S字状のカーブで標高を上げていく。その先は繁茂する路肩の雑草のため、車1台がやっとと通れるくらいの幅までに狭められている。



 道路右側にブロック積が見えてきて、そのブロック積に沿って右へとカーブすると、片側1車線の立派な道路と交差する。この道路は旧緑資源幹線林道比和新庄線で、緑資源機構が廃止されたために工事が止まっていたが、計画を縮小して工事が再開される。



 林道との交差点を直進したあと、大きく左へカーブして渓流沿いから離れ、山の等高線に合わせて回り込むような形で進んでいく。



 小さな谷を盛土で埋めた区間を通り過ぎると、今度は山の斜面が道路の右側から左側へと変わる。道路の左手にブロック積が見えた先のカーブで、林道が分かれているものの、荒れ具合から見るとほとんど利用されていない様子。



 落石防止柵のあるブロック積や擁壁の横を通り、道路右手の山の斜面が近づいてくると、切り通しとなった便坂の頂上へ到着する。便坂の頂上は布野町と作木町の町境となっている。




 三次市作木町に入ると、南側の山の木が伐採されているので、非常に明るく開けている感じを受けるが、ほどなく植林された林の中へと吸い込まれるように進んでいく。途中、カーブのところに作木中学校学校林と書かれた標柱が建っており、そこから左へと道が分かれているが、路面は雑草に覆われている。



 便坂から作木へ向けては、便坂谷と呼ばれている谷を下っていくが、道路左側の法面下を流れている渓流には水量が多く、静かな谷に水音が響いている。



 道路右側の山の斜面に沿うようにして進んでいくと、大きな左カーブのところで、別の沢沿いに続く林道が分かれている。




 道路沿いに流れ下りてきた渓流の対岸へと移り、落石防止網が張られた法面の下を進んでいく。この前後は切り立った山の斜面と横を流れる渓流に挟まれているため、1車線あまりの道幅しかない。谷側の木々の間からは、作木町の民家と田畑がちらりと見える。



 道路沿いに右へと大きくカーブしたあと、檜谷橋という名前の短い橋を渡ると、耕作されている水田がある。




 前方が開けて民家と田畑を見ながら緩やかな坂道を下っていくと、ほどなく便坂トンネルから下りてきた県道庄原作木線に合流する。


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